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下山の思想

成熟のとき

時代は『下山のとき』である。十年前からずっとそう言い続けていた。
山に登る、ということは、三つの要素があると思う。
一つは、山に登る、こと。
二つめは山頂をきわめること。
三つは、下山すること、である。

その三つは、切り離しがたくつながっている。
登山しっぱなし、ということはありえない。登った山からは、必ず下りるのだ。
そして安全に、確実に、
できれば優雅に麓にたどり着く。
そして家へもどり、また新たな登山の夢をはぐくむ。
登山、といえば山に登ることだけを考えがちである。だが、登ることは登山という行為の第一段階にすぎない。

山頂をきわめる。そしてひと息入れたら下山にかかる。
下山に失敗すれば、登山は成功とはいえない。登って、下りる。両方とも登山であり、山は下りてこそ、次の山頂を目指すことができる。

五木寛之著 『下山の思想』より 。

日本経済も登り続けてきた。
今は、下山のとき。
転げ落ちるのではなく、
安全に
優雅に
確実に下りる必要がある。

会社も同じ。
売上や利益が永久に登り続けることはない。

頂上を極め
転げ落ちる会社もある。

大切なのは
安全に
確実に
優雅に下山し、
次の山頂を目指すこと。

休みながらでもいい。
道のりを楽しみながら、
経験や体力をつけ、
次の山頂に向け備える。

『備えよ常に』

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